このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

公麿の2度目のディールの相手は、自らの講師である江原だった。公麿は少し前に江原の妻が3人目の子供を身篭っているのを見たばかり。確固たる目的と圧倒的な力をもった江原を前に、やはり公麿は戸惑いながらもただ戦うことに必死だった。そしてその時、公麿はディールが現実に及ぼす影響にまだ気付いていなかった。
 

「ミダスマネーは未来を担保にして支払われる。破産してはじめてわかったよ。その意味が」

これは、江原が公麿に言ったセリフ。
「未来を担保」というと奇異に聞こえるかもしれない。銀行で資金を借りる場合は、土地や有価証券といった現物資産が担保になることがほとんどだから。

でも現実の金融の世界で、未来を担保にお金を貸すことはめずらしいことじゃない。 「プロジェクト・ファイナンス」という金融手法が、まさにそれ。現時点で借入額に見合う担保を取るのではなく、将来そのプロジェクトが生み出す現金収入を試算して、それを担保にするという手法だ。石油採掘やインフラ開発などの大規模プロジェクトで用いられることが多い。

プロジェクト・ファイナンスでは、銀行は融資の前に実現可能性を綿密に調査し、リスクが高ければその分だけ貸付利息を高くする。その代わり、返済原資はプロジェクトが生み出す現金収入に限定されるので、もしプロジェクトが失敗したとしても、銀行が借り主の資産を取り上げるようなまねはしない。

では、このドラマで描かれているような、未来を担保にカネが支払われ、結果次第では未来が奪われるようなことが絵空事かというと、そんなことはない。実はわれわれの身近で起きつつある。

それは、何かというと・・・今はナイショにしておきましょう。ぜひ考えてみて。お金の意味を考えることが、このドラマのテーマなんだから。