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東南アジア金融街の破綻が引き起こした〝C〟により、影響下にあった国土と都市、人々は存在の記憶と共に消失した。〝C〟の影響は日本にも及び、金融市場の混乱を誘発していた。このまま市場の信用価値が落ちれば、消失現象が日本に連鎖してしまう。壮一郎はミダス銀行を訪ね、日本の防衛のために最後の切り札を切る。
その時、公麿は…。
 

「STI?」

ドラマに登場した証券取引所の職員だけでない。実は筆者も知らなかった。STIとはシンガポール証券市場の株価指数のことだ。こんなものまでドラマに使うのだから、「C」のスタッフたちは本当によく勉強している。

インデックス運用という株式の投資手法がある。通常の株式投資では上がる株・下がる株を見極めて個別銘柄に投資するものだが、インデックス運用では株価指数を構成する銘柄を全種類均等に投資することで株価指数に連動した運用成果を狙う。たとえば日経平均株価を構成する225銘柄をすべて買ってしまえば、日経平均と同じ運用成果が得られる。市場平均を上回るリターンを得ることはできないが、逆に平均を下回ることもない。個別株式の調査・分析をする手間や人件費が省けるというメリットもある。この手軽さが受けて、現在では日本の機関投資家の4割がインデックス運用をしているという調査結果もある。ただし、これは裏を返せば、機関投資家の4割は自分の頭で考えることをせず、ただ機械的に投資をしているということでもある。

多様な考え方を持つ投資家が市場を形成しているからこそ、株式市場の健全性が保たれる。インデックス運用をする投資家が増えれば増えるほど、市場の健全性が失われていくのではないか。こんな話を「C」のスタッフにしたことがある。その後、何度もディスカッションを繰り返して、「インデックス運用」という設定はどんどん変わっていった。さまざまな要素を付け加えて消化しながら、最終的に出来上がったのが「椋鳥ギルド」である。

ドラマに出てくる「椋鳥ギルド」にインデックス運用の痕跡はほとんど残っていない。だが、初期構想における三国壮一郎とは、インデックス運用を利用して市場をコントロールしようとするファンドマネジャーだった。そしてインデックス運用という主流に押し流されることなく、自分の頭で考えて行動するのが公麿。この設定は公麿の性格に生かされているような気がするが、どうだろう?